農業農村整備事業実施地区の視察を実施しました
本会は、令和7年8月28日~29日に、有識者5名と共に農業農村整備事業の実施地区を視察しました。
現地視察は、過去に農業農村整備優良地区コンクール(全国水土里ネット主催)で入賞した地区を対象に、受賞後の取り組みや課題について現地視察及び意見交換を行い、地域の更なる発展や、他地域への好事例の波及を図る目的で実施しました。
当日は、現地にて地区の概要や営農状況について説明を受けた後、事業完了から10年近く経過した現在の営農状況や課題等について意見交換会を行いました。意見交換会では、高齢化や人手不足が深刻化する中での、営農継続に向けた取組や雇用の確保について、活発に意見交換がなされました。
また、門崎ファームの視察については、岩手県の地方紙「岩手県日日新聞」にその様子が掲載されました。(令和7年8月30日掲載)
平沢地区


門崎地区


視察地
秋田県秋田市平沢地区(雄和中央土地改良区、農事組合法人平沢ファーム)
1.実施した事業
①事業主体:秋田県
②農地集積加速化基盤整備事業(H25~30)
③受益面積:108.9ha
④受益戸数:102戸
⑤標準区画規模:実施前10a→完了後100a
⑥主要工事:区画整理工、用水路工、排水路工、農道工、暗渠排水工・地下かんがいシステム
2.事業実施時の取り組み
①担い手となる農事組合法人平沢ファームを設立し、農地中間管理機構を利用したことで、農地集積が加速。
事業実施前は70%に満たなかった耕地利用率が100%達成。
②事業と並行して、秋田県が推進する園芸メガ団地育成事業を実施。
米依存を脱却し、野菜や花きを栽培する複合型生産構造へ転換。
③園芸メガ団地の構想段階から、世界的に有名なダリア育種家の鷲沢氏に栽培技術等の指導を依頼。
平成29年度の平沢ファームの売上は、ダリアの高い収益性により1億円を達成。
岩手県一関市門崎地区(農事組合法人門崎ファーム)
1.実施した事業
①事業主体:岩手県
②経営体育成基盤整備事業(H16~25)
③受益面積:64.2ha
④受益戸数:232戸
⑤標準区画規模:実施前10a→完了後50a
⑥主要工事:区画整理工、暗渠排水工、環境保全工(メダカ水路整備)
2.事業実施時の取り組み
①絶滅危惧種のミナミメダカを門崎の宝と位置付け、環境に配慮した事業計画を策定。
土水路(メダカ水路)、水路と水田を行き来するための往来工、排水路から戻るための魚道を整備。
②平成25年に農事組合法人門崎ファームを設立。
米のブランド化、オリジナルパッケージの作成やオンラインショップの活用により、
門崎ファームの自己販売額は平成26年度から3年間で3.7倍に拡大。
③お田植会、メダカ観察会等のイベントを通じて、若い世代に故郷の素晴らしさを伝え、後継者の掘り起こしにつなげる。