村山六ヶ村堰【山梨県】

八ヶ岳南麓・広大な台地を潤す疏水

自然水路

村山六ヶ村堰の受益風景
八ヶ岳南麓に区画整備された棚田が広がり、
米や野菜、花卉などの栽培がされています。

 村山六ヶ村堰は、山梨県の最北端に位置し北は雄大な八ヶ岳連峰の主峰赤岳(2,899m)を堺に長野県に接する北杜市の北東部に位置する高根町地域を灌漑している代表する堰です。
 この堰がある八ヶ岳南麓の地形は、裾野上部の森林地帯から牧草地を経て田畑地帯へと続いている南北傾斜。富士山をはじめ、奥秩父の山々や、南アルプス連峰が一望できる風光明美な地域で、標高600m〜1,200mには農業集落が散在しています。
 水源である川俣川(かわまたがわ)の東沢渓谷は、避暑地として観光地に発展した『「清里高原』の中にあり、渓谷沿いに遊歩道が整備され、多くの観光客も訪れ自然を楽しむ名勝地となっています。現在は『泥唹湧水(どろおゆうすい)[千条(ちすじ)の滝]』や『吐竜(どりゅう)の滝』を気軽に散策することができます。
 村山六ヶ村堰は、川俣川の上流、東沢泥唹湧水(千条の滝)を水源とし、疏水の起点は、赤岳の南西地獄谷の下となっています。ここから500mほど下った東側の斜面から湧出する湧水(清泉寮と大泉売店への取水口)を加え、八ヶ岳横断道に架かる東沢大橋の下を通り、4km余り下って左岸から湧出する『吐竜の滝』の豊富な湧水を加えます。
 さらに2km余り下って、東沢の取入ロから常時毎分5〜6トンを取水。東沢隧道から西沢導水路を通り、西沢取水口で西沢の水を総合して、16km余りの水利区間で農地への灌漑と生活用水に利用されています。以後、若神子に至り一級河川の塩川支流の甲川(かぶとがわ)に落ち合います。この間、隧道(水路トンネル)3ヶ所、水路橋1ヶ所、山腹横断4km余、分水11ヶ所によって、約480haの農用地を灌漑しています。

 八ヶ岳南麓には、湧水ヶ所が点在しており、先人たちは水系ごとに苦労して農地に水を導き、稲作が出来るようにしました。その中には、『八右衛門、鳥の小池』などのように伝説が語り継がれている湧水もあり、この地で人々が生きていくために、水が如何に大切であったかがうかがうことができます。近年は、清らかな農業用水、冷涼気候や観光地など自然と立地条件を活かし、地域の特色のある野菜や果樹、花卉など高品質化に取り組む農家も見られるようになってきています。
 八ヶ岳川俣川東沢から開削し取水した先人たちは、この八ヶ岳南麓に広がる広大な農地を残してくれました。地元では村山六ヶ村堰の疏水を守るため、農業用水の新たな活用方法として水力発電という自然エネルギーに取組み、『水と緑と太陽の恵み』を次世代の人々へ伝える施設を整備して地域の活性化に努めています。