立梅用水【三重県】

山あいの地域を潤す延々30kmの大用水

 立梅用水は、三重県多気町の旧勢和村一円、約5,400haの水田を潤す疏水です。水源の櫛田川から延々30km、山肌を縫うように流れくる立梅用水は、1823年の完成以来、約190年にわたって、この地の水田を潤し続けてきました。
 旧勢和村は、総土地面積の73%を山林が占める山あいの地域です。温暖で雨も多く米づくりに適した気候でありながら、櫛田川の河床が低いため、古くから水が引きにくい地域でした。立梅用水ができる以前は、畑地がほとんどで、おもに芋や雑穀(アワやヒエ)を作る苦しい生活を強いられていたといいます。
 しかし、立梅用水が完成し、“水”というかけがえのない財産を手に入れたこの地域は、実り豊かな農村へと変貌を遂げました。現在の立梅用水は、農業用水はもちろん、防火や生活用水など地域用水としての役割も果しています。水路沿いに植栽した1万本のあじさいや、今に残る歴史的水利施設など、地域住民が親しめる用水として、また多くの来訪者を楽しませる観光資源として、地域のかけがえのない資産となっています。