日本のお百姓さんはスゴイ!
じゃあ、今度はザリーの発表の番だ。
私がアメリカ生まれだってこと、知ってるよね。私の家族が世界中にいるってことも。そんなリッチでグローバルでセレブな私の話を聞いてください。
いーひっひ。ザリガニがセレブだって(笑)
うるさいの。黙って聞きなさい。オホホ・・・さっきのぐりドリラーの話で分かったように、日本の人たちは川から水路を引いてきて村や街をつくりました。ところが、それは実は、たいへん、たいへん難しいことだったのです。君たち、モンスーン(季節風)って知ってる?
怪物だ!
それはモンスターでしょ。じゃあ、梅雨は?6月の梅雨。夏がくる前に雨ばかり降って、じめじめした日が続くでしょ。あれは、アジア・モンスーンといって、日本とか東南アジアに特有の気候らしいの。8月に台風とか、集中豪雨がやってくるのもモンスーンのせい。この気候の特徴は、雨がドサっと降るかと思えば、ぜんぜん降らない日が2ヶ月も続いたりするの。皆も知ってるように、日本は山が多いでしょ。だから川も急なの。このグラフを見て。これは川の高さと長さを表したグラフなんだけど、外国の川は長くてゆったり流れてるでしょ。ところが、日本の川はすごく急でしょ。まるで滝みたい。外国の川では、降った雨はゆっくり流れて海へ運ばれていくでしょ。
ところが日本の川ときたら、降った雨がいっぺんに海へ流れ出しちゃうのよ。
世界の川と日本の川の比較
こら、そこのふたり!居眠りしてないでちゃんと聞けーッ!グラフを見るといつも寝るんだから。
だから、こういう地形にアジア・モンスーン気候が重なればどうなる?・・・つまり、大雨が続くと、すぐに川はあふれそうなくらいになり、堤防が崩れて洪水になったりするの。逆に、少し日照りが続くと、今度は川の水は見る間に少なくなり、小川のような流れになってしまうってこと。分かる?

分かる!ボクはいつも川で泳いでるけど、同じ川でも歩いて渡れたりする優しい時もあるし、でっかくて真黒い怪獣のような水が襲ってくる日もある。去年も大暴れして街中にあふれた。

そう。このグラフを見て。グラフの線が長いほど川の流れの変化が激しいってこと。例えば、ヨーロッパのテムズ川は8という数字になってます。これは洪水のときには、最も水の少ない時の8倍の量の水が流れてくるという意味なの。ヨーロッパは、どこも変化が少ないでしょ。ところが日本の川を見て!
川の水の流れの最大と最小の差
おー、スゲエ!・・・利根川は1,700倍。筑後川は8,600倍!?洪水のときには8600倍になるってこと?
そう!・・・だから大きな川はすぐに洪水になるのよ。利根川はむかし東京湾に流れ込んでいたの。だから江戸の町は洪水に何度も襲われているの。新潟平野は3年に1度は洪水。四国の吉野川も5年に1度。大阪の町も5年に1度。ダムができるまでは、どこの川も洪水だらけだったの。
でもね、洪水に劣らずたいへんだったのは、日照り続きの時よ。川の水がどんどん減ってゆく。田んぼもカラカラに乾いて、だんだん稲が枯れてゆくの。稲が枯れたら村は全滅よ。お百姓さんたちは少ない水を分けあったり、水の奪い合いでケンカになったりとメチャクチャたいへんな努力を重ねてきたのよ。・・・グスン。泣けるでしょ。
また、居眠りしてる
…でもな、ザリー。オレが調べたところでは、一本の水路からたくさんたくさん枝わかれしてた。そこでも水争いが起こるはずだ。1本の水路の水をどうやって分けるんだ?大きい村や小さい村がいっぱいあるんだぜ。
昔のお百姓さんは賢かったのよ。ホラ、この写真見て。・・・これは分水工(ぶんすいこう)と言ってね、水を分けるところなの。この分水工は3つの村に水を分けているわ。水は真ん中の穴から出てきて、いくつかの仕切りから流れ落ちるでしょ。その仕切りを、村の田んぼの面積にあわせて、たとえば1:2:3に分ければ、水路に流れる水は公平に分けられるでしょ。
円筒分水工
すごい!ハイテクだあ!・・でも、水が少なくなれば、分けられないじゃん。
そうなのよ。・・・農家の人たちだって水争いなんてしたくないよね。だから、それをさけるために、いろいろと水の取りかたについて決め事をつくってきたの。例えば、番水(ばんすい)といって、水路の水が足りなくなったら、水を取り入れる時間を決めたりしたの。ザリー村は3時間、パッカ村は1時間、ぐりドリラー村は1分。
少なすぎるー!
そうすれば、堰をこわしたり、石をぶつけあったりすることもなくなるでしょ。そういうこまかい水路の約束ごとを、たくさん作ってきたの。今でも日照りが続いて水不足になると江戸時代からの約束ごとにしたがって、番水をやってるところはたくさんあるのよ。
うひゃー!?江戸時代の約束をまだ守ってんだ。ボク、すぐにわすれちゃう。
むかしは、疏水を流れる「水の1てきは血の1てき」なんて言われたの。だから、お百姓さんたちは水を大切に大切にしてきたの。日本の農村には「水神様」をまつっているところがたくさんあるの。水路はぜったいに汚さないように、手を洗うことさえしなかった。だから、水路の水は飲めたのよ。そういえば、パリに住んでるパパが言ってたわ。パリの病気は水から広がったけど、日本には、水からうつる伝染病(でんせんびょう)はなかったんですって。
・・・日本のお百姓さんってスッゴイんだね!
ぐるぐる委員会 3 日本の川はスゴイ!
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