新・田舎人26号

マガジンラック

新・田舎人

新・田舎人インタビュー
自然と人が共存するいちばん具体的な形は、農業だと思います。

高木美保さん(女優)

高木さんは98年から住まいを栃木県那須高原に移し、野菜づくりに挑戦中だ。畑の広さは、家庭菜園の域を超える約360坪。しかも、農業のノウハウ・技術を身につけるにつれ農地を広げていくという。

※文中敬称略

高木 美保さん(たかぎ みほ)
1962年7月東京生まれ。1984年、映画「Wの悲劇」でデビュー後、ドラマ「華の嵐」の主役をはじめ、NHK大河ドラマ等に出演。またバラエティ番組にも挑戦し、お茶の間の人気者となる。1998年11月栃木県那須高原に住まいを移し、芸能活動のかたわら農業や園芸に取り組む。現在はテレビのみならず、講演や執筆活動など幅広く活躍。

―それまで自然に接する機会は?

高木/あまりなかったですね。東京生まれの東京育ちでしょ。でも考えてみると、幼稚園から小・中学校のころまで、夏休みには両親と一緒にずっと長野にいってたんです。東京の子のわりには自然体で田舎を楽しんでいました。

―野菜づくりをされているとか。

高木/自宅の庭のミニ農園が60坪、地元からお借りしているのが300坪、合わせて360坪の農地で野菜をつくっています。
自然が好きだったことを思い出したら、自然が減ってきた日本の現実が気になってきますよね。そうすると“自然と人の共存”が究極のテーマとして出てくるじゃないですか。じゃあ「自然と人が共存するいちばん具体的な形ってなんなの?」って考えたとき、私は、農業じゃないかと思ったのです。

―収穫のほうはどうです?

高木/うまくいったものもあるし、失敗もあります。でも失敗だってイイ経験。いくら勉強しても教わっても、思い通りにいかないこと・ものがあると、あらためて教えられました。
都会の生活は、こうしたいと思えばほとんどその通りにできました。交通は便利だし、商品はあまるほどあるし。夜中でも買い物ができます。だから、そんな生活に慣れて、欲望が増大する。

―野菜づくりなどを通して農業に対しお考えになることはありますか?

高木/あります。いまの農業は第一次産業といわれるように、産業の一部になっているでしょ。でも他の商業や工業とは、基本的にちがうのじゃないでしょうか。農業の場合は命あるものを扱う分野で、別格だと思います。
ですから、そういう命の根底にあるものをつくっている農家の方々には、もっと誇りと自信をもってほしいし、農業に携わっていない人たちも、農業についてもっと真剣に考えるべきだと思いますね。
それから農業は食料を生み出すだけではなく、環境保護の面でも大きな意味をもっているでしょ。田んぼはダムの役割をはたしているといわれるし、生態系・ビオトープの中心になっています。農村ののんびりした景観も大事だし、用水もかつては地域の水辺として親しまれていました。生産性という数字だけを見るのではなく、農業がもつ別の部分、質の部分の価値をもっと評価し、認識すべきだと思います。

―今後の活動として何か方向はお考えですか?

高木/都会と農村とか、自然と人とかを結びつけるような仕事ができたらと思います。
都会も農村もそれぞれかたよ偏ったところがあるじゃないですか。都会にいると都会のことだけしか見えてこない。それが田舎にいくと、田舎の姿を通して都会の良さが見えてくるんです。もちろん逆の場合もありますよね。都会と田舎の両方を知ると視野が広がって、新しい都会の良さ、新しい田舎の良さが見えてくるような気がします。
都会も田舎もお互いの見方、考え方を知れば、再発見しあったり、イイところを提供しあったり、逆に反省したり、知恵を授けあうことができるのじゃないでしょうか。

(この記事は「新・田舎人」26号のインタビューを抜粋したものです。)


バックナンバー

疏水名鑑

デジタルアーカイブス

水土の礎

Think About 2030

世界かんがい施設遺産